• 喫茶店の原体験 自由が丘「MURA」

    私が「喫茶店」なるものに魅力を見出したのは小学生の頃でした。

    何歳の頃だったか・・よく覚えていませんが、世のお店に独りで乗り込むには恐れのある歳だったと記憶しています。喫茶店で小さな子どもを見かけることは少ないように思いますが、普通は何歳くらいのとき「喫茶店デビュー」するんでしょうね?

    飲食店には何かと文句の多い父(いろいろ食べ歩いている、というわけでもないのですが)に連れられて入った、自由が丘の「MURA」という喫茶店。ここが私の喫茶原体験となった場所です。残念ながら、だいぶ昔に閉店してしまいました。ネットで調べても当時の面影を語る写真があまりありません。今回は「東京カフェマニア」さんの写真を恐縮ながら引用させていただきまする(土下座)。

    出典:東京カフェマニア

    外観はご覧のとおり蔦で覆われていました。紅茶専門だったはず。

    小学生当時の私からすると、もっと鬱蒼として危険な場所を思わせる印象でした。こちらの写真で見るとそんなでもない・・やはり年齢によって観るものは変わってくるんですね。危険な場所といえば、小学生男子がいかにも好きそうではありませんか。一種の秘密基地のような、そんなワクワク感があったように思います。秘密基地、この4文字に心躍るものは計り知れないものがあったなぁ。『ぼくらの七日間戦争』ってあったなぁ。


    宮沢りえ・・

    出典:東京カフェマニア

    内観もまたあやしげ。基本暗い。

    小学生当時の私からすると、もっと陰湿で生贄の儀式でも行われているんじゃないかと感じる印象でした。インドっぽいインテリアで、BGMもブッダ的なサムシングを連想させる環境音楽みたいなものだったと記憶しています。小学生時分の私からすると、異様な空間。まさに異空間でした。ここで飲んだ濃い目のチャイは今でも記憶にあります。

    mixi「MURA」コミュニティ

    「MURA」はどうやら2004年頃に閉店してしまったようですが、mixi内にファンのコミュニティができていました。閉店後にできたコミュニティのようで、閉店を惜しむコメントや思い出が多数寄せられています。いろいろな人のストーリーがある場所っていいですね。

    コミュニティの書き込みを見ると、オーナーの中村さんという方がご病気をされて、それがきっかけで閉店となってしまったのではないか、とのこと。その後何とか回復されたようですが、その後お元気なのか・・今さらながら心配です。


    解体される「MURA」

    個人経営の喫茶店は、オーナーさんの事情や経済的な事情など、一種の脆さのようなものを常に感じます。巨大スーパーの出店で商店街が廃れてしまうことがあるのと同様、大手コーヒーチェーンの出店で喫茶店が廃れてしまうのではないか、そんな不安もあります。スタバやドトールも行くのですが、個人経営でいい味を出している喫茶店も大事にしたい。そんな風に思う私の原点が、自由が丘の「MURA」だったのでした。

    約1,200文字の旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。

    もしあなたの「喫茶店原体験」のお店があれば、教えていただけるとうれしいです。まだご健在のお店でしたら、折をみてそのストーリーを訪ねてみたいところです。